はじめに
以前、生物学の時間だったと思うが、人間の成長してく過程は人類が進化する過程と同じであると聞いたことがある。数学に於いても同じことが言える。原始人は指で獲物を数えることしかできなかったであろうが、現在ではベクトル、行列、微分積分等、様々な分野が体系化されている。
現在、体系化されている数学が、ふっと湧き出したかのように出来上がったものではないはずだ。では、どのようにして体系化
みなさん、大学受験に向けて数学をどのように勉強しようと考えているでしょうか?典型的な問題が勢揃いした問題集を「一通りやった!」と満足げに話している受験生がいますが、実際に難関大学の入試問題を解けるようになったのでしょうか?
典型的な問題を学習することが悪いのではなく、問題に向き合う姿勢が正しいかを自らに問い掛けて欲しい。式変形一つでもそうだが、同じ式だということはわかるが
次のような方法で勉強している人はいないでしょうか?まず、問題文を読み自分で解いてみるが解けず、解答を熟読して「なるほど」と終わる。
なんらかの特徴があるからこのように式変形しようという「動機」が生まれてくる。解答の読解訓練をしていたのでは、実際に使えるツールにはならない。
問題文を素直に読め
いろいろな解答をみていると、問題の内容と全く違うことを証明していたり、何の根拠でこのような場合分けを思いついたのだろうといった解答がある。これは、それまでに解いてきた問題から似たような問題と結びつけ、なんとかこじつけたように思われる。似たような問題でも、出題者が要求している内容に答えなくては解答にはならない。実際の入試に類似問題が出ることを期待して、意味を考えず多くの問題を解いていると、「どの問題と同じ?」という思考回路となり変な先入観を生むことになってしまう。
問題を解くときは、これはベクトルだ!これは微分積分だ!などと考えるのではなく、まず、問題文を素直に読むことが大切である。
証明法
数学の命題には、
全称命題(すべての~、任意の~)
存在命題(ある~、~が存在する)
がある。
全称命題の証明問題では、
恒等式(係数比較法・数値代入法)・解の絞り込み論法・数学的帰納法
を利用する。特に「すべての自然数について~」という問題では数学的帰納法を利用することが多い。
また、存在命題の証明問題では、
中間値の定理・平均値の定理・鳩ノ巣原理(ディリクレの部屋割り論法)
を利用する。
次に、命題P→Qの証明である。
一般的にはP(仮定)を用いてQ(結論)を導くことが、これを直接証明法という。しかし、P(仮定)を用いてQ(結論)をうまく導けないことがある。そのときには、P→Qと同値な命題を用いて、同値な命題が真でれば元の命題も真であることを利用した間接証明法がある。しばしば使われる間接証明法として背理法・対偶が利用される。
また、当然のことだが証明問題には問題文に結論が記載されているため、仮定から攻めそして結論から攻め「よって」で結べばよい。
問題 解の絞り込み論法
8\( \times \)8サイズの部屋に、畳半畳分(サイズ1\( \times \)1)のコタツを1個掘る。その後、この部屋を1\( \times \)3サイズの変形畳で敷き詰めたい。どこにコタツを掘ればよいか。
問題 解の絞り込み論法
\( a \), \( b \), \( c \) は自然数であり、
\[ \frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} = \frac{1}{2} \]
を満たすものとする。このような \( a \), \( b \), \( c \) の組はいくつかるか。
問題 背理法
\( a \),\( b \),\( c \)を奇数とするとき、方程式 \( ax^2 + bx + c = 0 \) は有理数の解を持たないことを証明せよ。
問題 対偶命題の利用
\( a \),\( b \),\( c \),\( d \) を整数とする。整式
\[ f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d \]
において、\( f(-1),f(0),f(1) \) がいずれも3でわりきれないならば、方程式 \( f(x) = 0 \) は整数の解をもたないことを証明せよ。
問題 対偶命題
次の命題の真偽を述べよ。ただし、\( a ,b \) は自然数とする。
- \( a \) が奇数かつ \( b \) が奇数ならば、\( a^2 + b^2 \) が偶数
- \( a^2 + b^2 \)が偶数ならば、\( a \) が奇数かつ \( b \)が奇数
- \( a^2 + b^2 \)が奇数ならば、\( a \) が奇数または \( b \) が奇数
場合分け;場合を分けて議論を進める
問題 余りで場合分け
\( n \) を整数とするとき、\( 2n^3 – 3n^2 + n \) は6の倍数である。
問題
\( a, b, c \)を整数とする。このとき、次のことを示せ。
- \( a^2 \)を3で割ると余りは 0 または 1 である。
- \( a^2 + b^2 \)が3の倍数ならば、\( a, b \)はともに 3 の倍数である。
- \( a^2 + b^2 = c^2 \)ならば、\( a, b \)のうち少なくとも 1 つは 3 の倍数である。
置き換え
対称式
規則性の発見;具体的な数値を入れて実験する
問題
\[ \displaystyle x_{n+2} = \frac{1 + x_{n+1}}{x_n},x_1 = 6,x_2 = 1 \]
によって定められる数列の第1989項、すなわち \( x_{1989} \) を求めよ。
問題 東京大学
整数からなる数列 \( \{ a_n \} \)を漸化式
\[ a_1 = 1,a_2 = 3,a_{n+2} = 3a_{n+1} – 7a_n(n = 1,2,\cdots) \]
によって定める。
- \( a_n \) が偶数となることと、\( n \) が3の倍数となることは同値であることを示せ。
- \( a_n \) が10の倍数となるための \( n \) の条件を求めよ。
図・グラフ・表・流れ図、樹形図等を利用して視覚に訴える
出題者の誘導にのる
問題の言い換える
思考を逆転させて考える
動くものを減らして考える(固定して考えよ)
文字を含む方程式
\( a \) を定数とするとき、\( x \) についての方程式 \( a^2x + 1 = a(x + 1) \) を解け。
文字を含む不等式
\( a \) を定数とするとき、\( x \) についての不等式 \( a(x + 1) > x + a^2 \) を解け。
絶対値
次の方程式・不等式を解け。
- \( x^2 – x = |x – 2| + 1 \)
- \( |x + 3| + |x – 1| < 6 \)
次数下げ
\( \displaystyle x = \frac{1+\sqrt{5}}{2} \) のとき、\( P = x^4 + x^3 – 3x^2 – x + 1 \) の値を求めよ。
漸化式
次にように定義される数列\( \{ a_n \} \) の一般項を求めよ。
\[ a_1 = 10,a_{n+1} = 2\sqrt{\mathstrut{a_n}} \]
- \( \displaystyle-\frac{1}{4}x^2 + x – 3 = 0 \)
- \( (3 + x)^2 = (2 + x)(2 – x) \)
不定方程式
次の方程式を満たす整数の組 \( ( x,y ) \) をすべて求めよ。
- \( 5x + 7y = 1 \)
- \( 3xy – 2x – y = 1 \)
- \( x^2 + 2xy + 3y^2 = 9 \)
数学的帰納法
\( p,q \) を整数とし、二次方程式 \( x^2 + px + q = 0 \) の2つの解を、\( \alpha,\beta \) とする。
\[ a_n = \alpha^2 + \beta^n ( n = 1,2,3,\cdots )\]
で定まる数列 \( \{ a_n \} ( n = 1,2,3,\cdots )\) の各項は、すべて整数であることを証明せよ。
数学的帰納法
\( n \) が 4 の倍数でない正の整数のとき、
\[ 1^n + 2^n + 3^n + 4^n \]
は 10 の倍数であることを証明せよ。
パラメーター分離
実数係数の\( x \) に関する二次方程式
\[ x^2 – ( 2 – a )x + 1 + a = 0 \]
がある。
- 1つの解が \( 0 < x < 2 \) の範囲にあり、他の解が \( x < 0 \) または \( 2 < x \) の範囲にあるような定数\( a \)のとり得る値の範囲を求めよ。
- 2つの解のうち少なくとも1つが \( 0 < x < 2 \) の範囲にあるような定数定数\( a \)のとり得る値の範囲を求めよ。
- \( a < -1 \)のとき、実数解\( x \)のとり得る値の範囲を求めよ。